●てんかんは脳の神経細胞が突然異常に興奮して発作を繰り返す脳の疾患のことです。
てんかん発作が起こると、全身もしくは部分的な痙攣や意識障害が起こります。
てんかんは次の二つに大きく分けられます。

1.特発性てんかん
検査によって脳に構造的な異常が認められず原因不明のてんかんを「特発性てんかん」と言います。
てんかんのほとんどが特発性てんかんと言われており、
遺伝的な要素が大きく関係すると考えられています。

2.症候性てんかん
脳に何らかの異常があり、それが原因で起こるてんかんのことを「症候性てんかん」と言います。
交通事故などの外傷による脳障害、脳炎、脳腫瘍、水頭症などの脳疾患がある場合や、
子犬の場合ジステンパーなどのウイルス感染や脳の先天性奇形が原因になることがあります。

異常興奮する神経の場所や重症度によって、てんかんではさまざまな症状がみられます。
脳全体が興奮した場合は全身が激しく痙攣し、時に体が硬直したり弓なりに反ったりします。
この場合は意識がないことが多く、眼の瞳孔が開き失禁したり
口から泡を吹いたりすることもあります。

一方、脳の一部分だけが興奮した状態では興奮した部分の脳と関係する体の一部だけが
ぴくぴくと痙攣します。この場合、軽度な発作のみで意識があることがほとんどですが、
脳の中でも意識に関係する場所が興奮した場合では呼びかけても反応しないことがあります。
発作は通常数十秒から数分でおさまることが多く、
その後はまるで何事もなかったかのようにケロッとしていたり、
しばらくもうろうとした後にだんだん元の状態に戻ったりします。

重度の場合は短い間隔で何度も同じような症状を繰り返し、長く続くこともあります。
30分間以上発作が続く場合はすぐに治療をする必要があります。

もし一回でもてんかんのような症状が見られた場合は、
一般身体検査・血液検査・尿検査・レントゲン検査などを行います。
これは、てんかんに似た症状を起こす心疾患や中毒、神経の病気などと区別するためです。

てんかんの治療は脳に疾患がある場合はその治療を行いますが、
主に痙攣を抑えるお薬(抗痙攣薬)を飲み続けることが一般的です。
てんかんは一見恐ろしい病気ですが、症候性てんかんの場合は早期発見により、
進行を防いだり病気を治すことが可能な場合があります。
また特発性てんかんの場合は、なるべく初期の段階で投薬治療を始めれば
その症状もひどくならずに元気に生涯を送れることも多くあります。
この時、薬を突然やめてしまうと症状が悪化することがあるため、
薬は獣医師の指示通りにきちんと飲ませることが大切です。

発作が起きたら、どこへぶつかってもケガのないように周りの安全をすばやく確かめます。
机の角や段差など危険な場所がある場合はクッションなどを使い、
ペットがどんな体勢になっても安全な環境を作ります。

発作が起こっている最中にペットを動かしたり体をさすったりすると、
かえって神経を興奮させてその状態を長引かせてしまうことがあります。
また、その子自身も普段のような意識がないため、飼い主さんの手を噛んでしまうかもしれません。
手足をバタバタさせていても大きめのタオルで全身をそっと包んだり、
手を添えてあげる程度にし、無理に押さえるのは避けましょう。

そして、何が発作のきっかけになったのか、
痙攣の様子、眼球の様子、持続時間などは
診断や治療の重要な手がかりとなることも多いので、記録しておくとよいでしょう。

全身性に痙攣が起こる場合と異なり、部分的に痙攣が起こる場合はその子の癖だと思われていたり、
気付きにくい症状であることが多いため、飼い主さんは軽視しがちです。
しかし全身性でも部分的でも、てんかんは早期に見つけて早期に治療をはじめることが大切です。
日常の観察でペットに次のような行動が見られたら、一度は動物病院に相談してみましょう。

・よく不安そうにしていたり落ち着きがない
・体の一部分、または全身がピクピクしたり、突然力が抜けたりすることがある
・何か食べているように口をくちゃくちゃしたり、宙をむいて口をパクパクする
・一度発作が起こると再びその環境や状態になった場合に発作が起こることがあります。

また、次のようなことをきっかけにして発作が再発したという例があります。

・気圧の変化が起こりやすい季節の変わり目
・家に来客が来た時のチャイムの音がした時
・テレビの電源を入れた時
・部屋の明かりをつけた時

もしてんかんのような症状を起こしたら、たとえすぐにおさまったとしても
動物病院で検査をしてもらいましょう。
むずかしい病気だからこそ、発作のきっかけが何かをつきとめ
出来る限り再発しないように努めることも飼い主さんの役目です。

毎日元気に過ごそう~