人と同じくペットも高齢化が進んできました。
今では飼われているワンちゃんの4頭に1頭が10歳以上なのだそうです。
高齢になるとワンちゃんの行動にはどのような変化が見られるようになるのでしょうか。
また、その変化にどのように対処すればいいのでしょうか。

ペットは人の数倍の速さで歳をとっていきます。
小型〜中型犬の場合は約7歳、大型犬の場合は約5歳で高齢と呼ばれるようになります。
これは人で言うと45〜50歳くらいに相当します。
人もこの頃から体力が衰え始めたり老眼が始まったりする年齢です。
ペットの場合も個体差があるものの、やはりこの頃からさまざまな体の変化が現れ、
今までとは違った観点で健康管理をする必要が出てきます。

老化は基本的な部分では動物も人とほとんど同じです。
歳をとるにつれて病気に対する抵抗力が落ちてウイルスや細菌に感染しやすくなったり、
傷ついた体を元に戻すのに時間がかかったり、外からの刺激に瞬時に対応しにくくなってきます。
さらに視力や聴力といった感覚器官が衰えてきたり、
心臓や腎臓など毎日使っている内臓も年齢と共に少しずつその働きが弱まってくるのです。

《高齢犬の変化 1》お散歩時の変化
ワンちゃんも高齢になると体力が低下してくるため、
若い頃よりも運動量が減ってきます。

お散歩の距離が短くても満足するようになったり、
全力で走るというような、若い頃にはしていた動きを
あまりしたがらなくなるのが普通です。

しかし、歩き出してすぐに息が上がって座り込んでしまったり、
ハアハアと肩で息をするようになったら、
高齢の小型犬で多く見られる「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓の病気かもしれません。
不安を感じたらなるべく早く動物病院で診てもらうことが大切です。

また、階段の昇り降りがぎこちなくなったり、歩幅が狭くなって
背中を丸めて歩くようになってきたら、手足や背骨の関節が変形したり、
炎症を起こしている可能性があります。
これは歳をとるにつれて関節の潤滑液の働きをしている関節液が減少し、
クッションの働きをする軟骨が擦り減ってくるため、関節の骨同士が直接こすれあうため起こります。
放っておくと痛みが生じるため、ワンちゃんは体重を4本足に均等にかけなくなったり、
あまり動きたがらなくなってきます。
そして、じっとしている時間が長くなると筋肉は徐々に衰え、ますます動きたがらなくなります
。これらのしぐさが見られたら早めに診察を受けましょう。
サプリメントなどで関節の成分を補うことで、その発生や進行を遅らせたり、
症状を軽減できる場合があります。

《高齢犬の変化 2》ごはんを食べる時の変化
多くのワンちゃんは歳をとるにつれてゆっくりとごはんを食べるようになってきます。
毎日飢える心配をしなくてもいいという安心感から精神的に余裕が出てくることもありますが、
若い頃よりも消化能力が低下してきて食欲が落ちてくることも理由の一つです。

高齢犬には栄養バランスが良く、きちんとカロリーを摂ることのできる
消化の良い高齢犬用のフードを与えるようにしましょう。
もし、高齢になってごはんを際限なく欲しがるようになったら、
それはホルモンの病気か認知症が始まったせいかもしれません。
特にホルモンの病気は早期発見、早期治療が大切なので、
疑わしい場合には早めに精密検査を受けることが重要です。

た、歳をとってきて歯石が溜まり歯槽膿漏になると、
口の中が痛くなったり歯が抜けたりするため、
食べ物を片方の顎だけで食べるようになったり、
食べながら食事をぼろぼろとこぼすようになります。

もし、ごはんを食べていない時でも舌が出ている様子がみられたら、
その部分の歯が抜けてなくなっているかもしれません。
歯の健康は毎日のお手入れが大切ですが、
このような様子が見られたら動物病院に相談しましょう。

《高齢犬の変化 3》おうちでくつろいでいる時の変化
高齢犬になるとひとつひとつの動作がゆっくりになり、
寝ている時間も増えてきます。
またおうちの中でくつろいでいる時には、自ら遊ぶことはあまりせず、
ほとんどの時間をじっとして過ごします。
筋肉も衰えて体が骨ばってきたところに同じ姿勢でずっと寝つづけていると、
腰骨や肩、膝などに床ずれができやすくなります。床ずれは常に体の一部に
体重がかかることによりそこの部分だけが血行不良になってしまう症状なので、
高齢犬の寝床には厚みのある柔らかい素材のものを用意して、
体重が全体に分散するようにしてあげましょう。
足腰が特に弱っている子の場合は、時々寝返りを手伝ってあげましょう。

《高齢犬の変化 4》トイレの変化
高齢になると消化能力が低下してくるため、
ちょっとしたことでもすぐにお腹を壊しやすくなります。
体力のない高齢犬はちょっとした下痢でもすぐに全身状態の悪化につながります。
トイレを始末する時には必ず色や形をチェックして、
いつもと違うなと思ったら、
その便を持ってなるべく早く診察を受けるようにしましょう。
また、オスのワンちゃんの場合、若い頃は足を上げておしっこをしていた子も、
足腰が弱くなってくるとしゃがんでおしっこをするようになることがあります。

《高齢犬の変化 5》被毛や皮膚の変化
動物も歳をとると今まで色のついていた被毛が白くなり、特に顔周りから白い被毛が目立つようになってきます。
また、被毛自体のコシもなくなって立ち上がりが悪くなったり、
量が全体的に少なくなって地肌がうっすらと見えるようになることもあります。
皮膚も皮脂の分泌量が減ってカサカサした状態になってきます。
皮脂は外部からの異物に対するバリアの役割をしているため、
皮脂が減ると刺激を受けやすくなり、皮膚炎ができたり、
いぼ(良性の腫瘍)が見られるようになることがあります。

黒い鼻だったワンちゃんは色素が抜けてピンク色になってきたり、
反対にピンク色の皮膚の子にはしみ(色素沈着)が見られるようになることがあります。
高齢犬の皮膚はなるべく乾燥させないように保湿剤を使用してあげたり、
皮膚炎になった場合は、痒みから皮膚を掻き壊してしまう前に
動物病院で診てもらうことが大切です。

《高齢犬の変化 6》目や耳などの感覚器の変化
歳をとると「老齢性白内障」と呼ばれる目の病気になることがあります。
これは目のレンズが白く濁ることで視力が低下する病気です。
最近では手術を行って治療する動物病院があります。
しかし白内障が進行すると手術ができない場合もあるため、
日頃から目の中をよく観察し、目が白いと感じたら
動物病院で診てもらいましょう。

また、動物も人と同じように歳をとると少しずつ耳が遠くなってきます。
声を掛けても気が付かなかったり、後ろから近づくとビックリしてしまうことがあるため、
高齢のワンちゃんにはなるべく見える位置から近づき、
声を掛けながら体にそっと触るようにしましょう。

《高齢犬の変化 7》神経的な変化
動物にも脳に障害が生じることによって人の認知症に似た症状が見られることがあります。
具体的には一日中ぐるぐると徘徊したり、ごはんを食べつづけたり、
夜鳴きをするような行動です。
ボーッとしているかと思うと急に神経質になったり、
頑固になったりする子もいます。
ペットが認知症になる前から、サプリメントなどで
脳の機能をサポートすることも大切ですが、
普段から散歩やスキンシップなどの刺激を与えながら
愛情をもって接してあげることが最も重要なことです。

老化は徐々に進行していくため、しぐさの変化はほんの少しずつ起こります。
日頃からよく観察し、その変化を敏感に察してあげましょう。
そして元気なうちから高齢対策を講じておくことが、
ワンちゃんが健康で長生きすることにつながっていきます。

老化予防しよう~